医原性アルツハイマー病

アルツハイマー病のアミロイドβは,prion-likeな性質を有する,つまり,異常アミロイドは正常アミロイドに作用しアミロイド沈着を加速させていくことが様々な実験で示されている.また,Braakらの仕事に代表されるように,アミロイドプラークアルツハイマー病の進行とともに広がることも示されている.

さらに,近年では,幼少期に硬膜移植を行った人は30-40歳で若年性のcerebral amyloid angiopathy (CAA)を発症することが報告されている.

Early onset cerebral amyloid angiopathy following childhood exposure to cadaveric dura

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ana.25407

屍体硬膜を用いた幼少期の頭部外傷術後に 若年性脳 ...

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jstroke/advpub/0/advpub_11093/_pdf/-char/ja

 

今回の報告は,脳下垂体由来の成長ホルモンを注射していた人で,プリオン病も起こり得るのだが,今回はアルツハイマー病についてn=8で調べた報告で,Nature Medicineに報告されている.

Iatrogenic Alzheimer’s disease in recipients of cadaveric pituitary-derived growth hormone

https://www.nature.com/articles/s41591-023-02729-2?utm_source=nm_etoc&utm_medium=email&utm_campaign=toc_41591_30_2&utm_content=20240221

 

脳下垂体由来の成長ホルモンに異常アミロイドβが含まれていることを確認し,アミロイドPETや剖検脳のアミロイド染色から存在を示している.

アミロイドは恐ろしい.また,高齢になるとアミロイドを持っている人も多くなるが,それらの人のアミロイドはいったいどこからくるのだろうかという疑問も出てくる.ApoEやTREM2などの疾患感受性遺伝子は関与するのだろうが,criticalなpointは見えてこない.