AQP4を発現する胸腺B細胞はAQP4に対する免疫寛容を誘導する

抗AQP4抗体はNMOSDを引き起こす.抗体病なのでB細胞は重要だが,T細胞の反応についてはよくわかっていなかった.

 

B cells orchestrate tolerance to the neuromyelitis optica autoantigen AQP4

B cells orchestrate tolerance to the neuromyelitis optica autoantigen AQP4 | Nature

 

手法としては,おもにKOマウスを使っていて,胸腺上皮細胞(mTEC)特異的(AQP4-ΔTEC),あるいはB細胞特異的にAQP4を欠損(AQP4-ΔB)させている.AQP4-ΔBのみAQP4特異的な胸腺細胞が残る.つまり,AQP4発現したB細胞はAQP4特異的な胸腺細胞の除去に関わっている.(Fig2)

AQP4特異的なT-precursor cellが残るとNMOSDを起こしやすいかどうかを,P41を用いたEAEとMOG35-55抗原を用いた実験的自己免疫性脳炎EAEモデルで比較している.(Fig5)AQP4-ΔBだと,つまりAQP4特異的なT-precursor cellが残ると,P41-EAE(NMOSD)を起こしやすく,MOG-EAEは差がない.AQP4-ΔTECでは脳炎を起こしやすいわけではない.

これらから,胸腺細胞の負の選択は、胸腺B細胞によるAQP4の発現と提示に依存している.AQP4はCD40依存的(AIRE依存的ではない)にB細胞に発現することから、胸腺B細胞はAQP4のような疾患関連自己抗原を含む生殖中枢関連抗原群に対して寛容化する可能性がある.と結論している.

 

細部は理解できていないが,NMOSDや,そもそも抗体病に胸腺B細胞が大きく関わっていることを示唆する興味深い論文だった.